不動産価格などあってないようなもの

ダメ押しは、直近のリーマン・ブラザーズ破綻に端を発する「世界恐慌懸念」。メガバンク、地銀、信用金庫などの金融機関が軒並み不良債権に怯えるなか、業者への資金の「貸し渋り不安」がいよいよ深刻化している。

 そんな状況だから、これまで高値で土地を仕入れて一戸建てを分譲して来た多くのメーカーは、クビが回らなくなった。物件が売れずに投下資金を回収できない、金融機関からの新たな融資も厳しくなる、そればかりか土地開発時に借り入れた資金の金利返済さえままならないという「負の連鎖」に陥っているのだ。

 できることと言えば、赤字を覚悟で在庫物件を「投げ売り」して、少しでも多くのキャッシュを手に入れることだけ。「体力が弱い会社は、決算期に売り上げ目標を大きく下回ると、金融機関の審査で次期の融資を見直され、運転資金まで尽きてしまう。自転車操業に陥った知り合いの中小メーカーが、この夏だけで何社も潰れた」と、営業マンは青冷める。

完成前から「数百万円引き」の交渉も
疑心暗鬼のお客に悩む業者
 現場の状況を詳しく聞くと、住宅メーカーの苦境ぶりは想像以上だ。

「チラシや住宅情報誌では、300万円引きと宣伝していても、水面下でさらに100〜200万円もお客にまけさせられ、ようやく売れている」(小規模メーカー)

「物件が完成する前から、数百万円は値引く可能性があると伝えないと、お客に興味を持ってもらえない。お客も今や値引きは当たり前と言わんばかりに強気で交渉してくるから、とてもやり切れない」(中堅メーカー)

「地型が気に入らないというお客のために、わざわざ多棟現場の分譲面積を広げ、ようやく1棟売った」(中堅メーカー)

 あおりを食った不動産仲介業者の多くも、「儲け」が半減した。

「通常、建売りの不動産仲介手数料は、成約時に売り主(メーカー)と、買い主(お客)の双方から、契約価格の最大3%が入る。だが最近では、手数料がかかるのを嫌い、仲介業者を通さずに売り主と直接交渉するお客が増えた。これでは商売上がったりなので、仲介してもお客からは手数料を取らない営業方針に変えた」(中堅仲介業者)。

 需要そのものは大きく落ち込んでいないものの、「お客の疑心暗鬼」で様子見・値引き交渉が蔓延しているのが不況の主因となっているようだ。

 中野区で新築一戸建てを探している50代のサラリーマンはこう語る。

「景気が悪くなって、不動産価格などあってないようなものだと気ずきました。何百万円も安くなるのはよいが、では当初はそもそも何を基準にして値付けしていたのか。これでは、家のクオリティさえ心配になってくる。高い住宅ローンを組む気になれませんよ・・・」

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