金融システム全体に対する「信用」

 リーマン・ブラザーズをはじめ、大手金融機関の経営危機が次々と表面化している欧米の短期金融市場は、これと同じ状況に陥っている。

 民間金融機関が資金を出さない以上、金融機関の資金繰り破綻を防げるのは中央銀行しかない。9月18日、日米欧の中央銀行が協力して、短期金融市場に1800億ドルのドル資金を供給すると発表したが、2週間もたたない29日にはこれを6200億ドルにまで拡大すると発表した。中央銀行の懸命の努力で、危機はまだ短期金融市場内に封じ込められているといえるが、資金供給の拡大は危機が確実に深化していることを物語っている。

 危ないと目される金融機関は、資金を借り入れるため、必死で国債などの担保をかき集める。取引先に協力預金をお願いしたり、強引に貸出を回収して、資金繰りをつけようとすることもある。

 そして担保が尽きれば、もはや中央銀行から無担保でおカネを借り入れるしかない。日本でいえば、「日銀特融」である。金融市場で特融は一種の破綻とみなされる。欧州で政府が次々と大手金融機関を国家管理の下に置いて支援するのは、こうした金融機関に資金繰り破綻の危機が迫っていたからに違いない。それを放置して破綻させ、銀行機能が停止すれば、金融市場や実体経済に与える混乱は計り知れないからだ。

 だが、金融システム全体に対する「信用」が回復されない以上、日米欧の中央銀行が協力して支えても、資金繰りの失敗から破綻の危機に瀕する金融機関が次々と出てくる可能性がある。
政府はどの銀行を救済し、どの銀行は見捨てるのか。こうした危機感が社会全体に広がれば、危機は短期金融市場を突破し、預金者や企業へと伝播していく。

 「私の預金は大丈夫だろうか」。預金者は不安になり、預金の引き出しに走る。「バンクラン」、取り付け騒ぎである。一斉に預金が引き出されれば、金融機関は現金が不足して預金が払いだせなくなり、破綻の危機に面する。銀行機能が停止すれば、経済活動に欠かせない決済ができなくなる。新規貸し出しも不可能になり、企業倒産も増える。これがパニックであり、恐慌である。

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